脳梗塞の予防法とは?

脳梗塞の予防法とは?

▼ページ内目次 ※クリックしていただくとページ内で移動します
  1. 脳梗塞は突然に起こる病気
  2. 脳梗塞の最大の危険因子は高血圧
  3. 心臓が原因で起こる脳梗塞
  4. 脳梗塞は朝に起こる
  5. 脳梗塞は夏に多い
  6. 脳梗塞の前ぶれ
  7. 知らないうちにかかっている脳梗塞
  8. 魚を食べて脳梗塞を予防する
  9. 脳梗塞再発予防の薬
  10. 脳梗塞予防のまとめ
  11. 脳卒中予防十か条
  12. 血液をサラサラにする方法
  13. 有害な活性酸素にビタミンEが有効

1.脳梗塞は突然に起こる病気

脳梗塞は突然に起きる病気、かかってからしまったと思っても、手遅れ、そこで普段から予防しておくことがもっとも大切

脳梗塞とは、脳へ血液を送る血管(動脈)がつまるために起こる病気です。脳への血管がつまってしまいますと、その先の大切な脳細胞へ血液が流れなくなって、脳細胞が死んでしまい脳梗塞が起こることになります。脳梗塞をはじめ脳卒中は青天の霹靂(へきれき)のように突然に起こるのが最大の特徴です。

2.脳梗塞の最大の危険因子は高血圧

脳梗塞は、いわゆる危険因子を持った方に起こりやすいのですが、その危険因子にはいくつかのものがあります。

脳梗塞の主な危険因子は高血圧、高脂血症、糖尿病

脳梗塞の危険因子のうち重要なものには、高血圧、高脂血症(血液中のコレステロールが高い)、糖尿病、多血症(しばしば喫煙者にみられる)、心臓病(心房細動などの不整脈)などをあげることが出来ます。そんなことから脳梗塞も、いわゆる生活習慣病のひとつと言われます。一般に脳梗塞などの脳卒中は、何の症状の前触れもなく、突然に起こる特徴があります。そこで、普段から、これら脳梗塞の危険因子の有無のチエックを行い、そう言った危険因子の見つかった方は、食事療法運動療法薬物療法などで、正常の状態に戻しておかなければなりません。

今もって、脳梗塞の最大の危険因子は高血圧

脳梗塞にはいろいろなタイプがあるのですが、現在でも高血圧が原因で起こるタイプの脳梗塞が一番多いという事実があります。

血圧が高くても、普通、痛くもかゆくもない。それで、生活習慣を改善したり、治療を受けようという気になりにくいことに注意

そこで、血圧の高い方では

  1. 塩分を控える。
  2. 適正体重となるよう、腹八分目にする。なるべく歩くようにする
  3. 塩分を体外に排泄するのに働き、血圧を下げる効果のあるカリウム、カルシウムなどのミネラル(微量元素)を含む食品を積極的に摂取する。

以上のような食生活、生活習慣の改善を行い、それでも血圧が下がらない場合には、医師の指導のもとに血圧を下げる薬(降圧剤)を飲んだ方がよいでしょう。

3.心臓が原因で起こる脳梗塞

最近、心臓の不整脈から起こる脳梗塞にかかる方が増えている

このところ年配の方を中心に、知らないうちに心房細動と言う不整脈にかかる方が増えていますが、この心房細動にかかりますと心臓の中に血液の塊が出来やすくなります。そして、この心臓の中に出来た血液の塊が、時々、チギレて、脳の動脈の方に流れていって、そのせいで、脳の血管がつまってしまうことがあります。このような心臓が原因で起こる脳梗塞のことを脳塞栓(のうそくせん)と言います。この心房細動がありますと、毎年その5%の方に脳梗塞が起こると言われます。そこで、動悸がしたりした時には、心房細動などの心配な不整脈でないかどうか調べてもらった方がよいでしょう。

4.脳梗塞は朝に起こる

脳梗塞は朝、目が覚めた時に発病することが多い!

脳梗塞は朝、起床時に発病することが多いのです。そのため、朝起きた時に何らかの症状が出現したと言う時には、特に注意が必要です。

朝に多い原因は、一般に夜中に血圧が下がって血液の流れが悪くなりやすいこと、また、朝方に血液中の水分が足りなくなって血液がドロドロとすること、朝、起床時には交感神経が緊張し、逆に血圧が上がる方が多いことなどが原因です。

朝起きた時に、半身の手足が動かしにくい、しびれる、ろれつが回りにくく、しゃべりにくい、めまいがした。などと言う症状に気付いた時は、脳梗塞が疑わしい。すぐに病院へ。

脳梗塞は安静時、特に睡眠中に生じる傾向があり、脳梗塞の4割は睡眠中の発病であると言われます。なお心臓が原因で起こる脳塞栓も朝起床時あたりの時間帯に多いのです。

5.脳梗塞は夏に多い

脳梗塞の多発する季節は夏

かっての脳卒中は、そのほとんどが脳出血であったことから、血圧の上がりやすい冬に多かったのです。ところが現在では、この脳出血が減少し、脳卒中のほとんどを脳梗塞が占める時代に変化しました。脳梗塞は夏に多い病気です。すなわち脳梗塞は夏、炎天下でのスポーツ(ゲートボール、ゴルフ、テニス、登山)などの際に起こることがしばしばなのです。血液中の水分が不足した状態を脱水と言います。汗をかいたりした時に水分の摂取が不足しますと脱水となって、脳の血管を流れる血液が濃くなり、ドロドロとした状態になることから、つまりやすくなってしまいます。そこで特に、汗をかきやすい夏期にはよく、心がけて水分をとるようにしましょう。

6.脳梗塞の前ぶれ

一過性脳虚血発作は脳梗塞の前ぶれすぐに良くなったからと言って安心していると、大変なことになる

一過性脳虚血発作(英語でTIAと言います)と言って脳梗塞の本物の発作(大きな発作)を起こす前に、短時間の手足のしびれや、脱力(力が抜けること)の発作を何度か繰り返すことがあります。これは脳梗塞の前ぶれであると言われています。この一過性脳虚血発作は「後に大きな発作が起こりますよ」と教えてくれているのです。すぐに良くなるからと安心し放置していますと、早晩、大変なことになってしまうかもしれません。この一過性脳虚血発作は、普通、数分から10数分、大部分は1時間以内、最大24時間以内に回復する発作で、一過性脳虚血発作を起こした方のうち30〜40%の方は後に脳梗塞に移行することが分かっています。そして発症直後ほど脳梗塞に移行しやすく、20%は1ヶ月以内に、約50%は1年以内に脳梗塞を発症すると言われます。

結局、一過性脳虚血発作は一度でも起こしたら、すぐに精密検査を受けて脳梗塞の予防の処置を行っておく必要があります。しかし、一過性脳虚血発作が起こっても、これが脳梗塞の前ぶれであると気付くかどうかが一番の問題です。

一過性脳虚血発作の症状として多いものは、半身の手足の麻痺やしびれ、あるいは片方の目が急に見えなくなる一過性黒内障、そして、めまいなどです。

  1. 手や腕の症状としては
    • 食事中に急にハシを落とした
    • ハシがうまく使えなくなった
    • 字がうまく書けなくなった
    • 茶碗を落としたりする
  2. 足の症状としては
    • 急に足が動かなくなり、立ち上がれなくなった。歩けなくなった。
    • 歩行に際しつまづく
    • 足先がひっかかって階段が上がれない
    • 片方のスリッパが脱げ易い
    • 段差に片足が引っ掛かる
    • まっすぐ歩いているつもりなのに、片側へ寄って行く
    • 足がもつれる
    • 体がふらつく
  3. 顔面や言葉の症状
    • 口から食べ物をボロボロとこぼす。
    • 顔の半分がゆがんだ(顔面神経麻痺)。
    • ろれつ困難となり、うまくしゃべれない。
    • 頭の中で分かっているのに、口に出して言えない。
  4. 目の症状
    • 片目だけ幕がおりるように急に見えなくなった(これを一過性黒内障と言います)
    • 視野の半分が急に見えなくなった

7.知らないうちにかかっている脳梗塞

知らないうちに脳梗塞にかかってしまっていることがある

頭痛などの精密検査を受けた際に、知らないうちに脳梗塞にかかっていたことが、たまたま分かることがあります。脳梗塞にかかっても、症状がほとんど出ない場合があって、症状がなければ、かかったことに気付かないのです。こう言ったものを無症候性脳梗塞隠れ脳梗塞、微小脳梗塞などと言います。しかし無症候性、すなわち症状が出なかったからと言って、これも脳梗塞には違いがありません。最近、脳ドックを受診する方が増え、このような無症候性脳梗塞が見つかる頻度が増えてきました。この隠れ脳梗塞がみつかってから数年以内に3割の人が再び脳梗塞の発作を起こすと言うデータもあります。無症候性脳梗塞からの脳卒中の発病について、脳ドックを受けた日本人933例(平均年齢57歳)の研究では、無症候性脳梗塞は10.6%に認められ、その後1-7年の経過中に新たな脳卒中を発症した頻度は、無症候性脳梗塞を持った人では10.1%、無症候性脳梗塞を持たない人では0.77%と有意な差を認めたと報告されています。つまり、無症候性脳梗塞を持った人は、そうでない人と比べて10倍以上も脳卒中を起こしやすいということになります。

結局、脳梗塞に一度かかったら、必ずと言って良いほど再発するのです。しかし、次に起こった時も最初の時と同じように無症状ですむとは限りません。起こった場所によっては、手足が麻痺したりすることもないとは言えません。そこで、一度でも脳梗塞を起こした方は、普段から脳梗塞を予防するお薬を根気よく飲んで再発を防いで行く必要があります。

8.魚を食べて脳梗塞を予防する

脳梗塞の予防には魚が一番

魚の油(脂肪酸)に含まれるEPA(エイコサペント酸)にはコレステロールや中性脂肪を減らし動脈硬化を予防する作用、そして血液が凝固するのを防ぎ血栓を予防する効果があることが判明していて、脳梗塞の予防にとても効果があるのです。同じく魚の油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)にはEPA以上にコレステロールや中性脂肪を下げ、動脈硬化を予防する作用のあることも判明していますが、DHAには、それ以外に、学習能力や情報伝達能力など脳の機能の改善効果があり、同時に、ボケを予防する効果もあるのです。実際、魚をたくさん食べる方ほど脳梗塞にかかりにくいことも分かっています。

魚の油にはEPAやDHAが含まれているため脳卒中や心筋梗塞などの血管の病気を予防するのに優れた効果がある

このDHAは白身の魚より青背の魚、また深海魚より海の表層を回遊する魚に多く、DHAを多く含む魚はマグロ、ブリ、サバ、サンマ、イワシなどです。

また、それ以外に、魚の蛋白質には血圧を下げたり、コレステロールを排泄したりする作用があり、その作用の一部はタウリンと言う成分によることが分かっています。このタウリンは魚貝類や動物の内臓(いわゆるホルモン)に含まれ血圧や血液中のコレステロールを下げる作用があるのです。タウリンの多い食物としてはアワビ、スルメイカ、ズワイガニ、タコ、アサリ、カキなどがあります。

9.脳梗塞再発予防の薬

一度、起こった脳梗塞は再発することが多い

脳梗塞にかかられた方では、再発を予防するためのお薬を飲んでいただく必要があります。それには、普通、抗血小板剤というというお薬が使われますが、一番よく使われるのがアスピリン(商品名、バイアスピリン、小児用バファリンなど)です。このアスピリンは普通、頭痛薬などの痛み止めとして使用されることが多いのですが、これを少量用いますと、血液中の血小板に働いて、血管の中で血栓が出来るのを防いでくれる作用があります。そこで脳梗塞の再発予防効果があるという訳です。それ以外に、パナルジン、プレタールというお薬もよく使われます。ところで、症状が変わらないからと勝手にお薬をやめてしまう方がありますが、やめてはいけません。再発予防の薬はずっと続けて頂く必要があります。なお、これらのお薬を飲んでいる方は、出血が多少、止まりにくくなりますので、「歯を抜いたり」、「手術を受けたり」される際には、あらかじめ医師に相談して下さい。

一方、心臓が原因で起こる脳塞栓の場合、心臓の中に出来る血液の塊は、血管の中に出来る血栓とは性質が異なっているため、その再発予防にはワーファリンという薬を使用します。この薬を飲んでいる方は、時々、血液検査で、プロトロンビン時間(INR)を測定して、お薬の効き具合をチエックしておく必要があります。「歯を抜いたり」、「手術を受けたり」される際に、あらかじめ医師に相談して頂くのはもちろんですが、ワーファリンを飲んでいる方は、薬の効果に影響を与えますので、納豆を食べてはいけないことを覚えておいて下さい。

10.脳梗塞の予防のまとめ

  1. 脳梗塞は突然に起こる病気、かかってからしまったと思っても手遅れ、そこで普段から予防しておくことが大切。
  2. 突然に、「半身の手足が動きにくくなった」、「半身の手足あるいは顔面がしびれる」、「ろれつが回りにくくなって、うまくしゃべれない」などの症状が起こった時は脳梗塞が疑わしいので、すぐに病院へ。その他、「急に視野が欠けた、見えなくなった」、「めまいがした」などと言う症状も要注意。
  3. 脳梗塞は、朝、起きた時に気付くことが多い、朝、起きた時に以上のような症状に気付いた時は、脳梗塞の始まりかも。様子を見ないで、すぐに病院へ。
  4. 脳梗塞は夏に多い。その理由は暑さのせいで汗をかいて脱水、つまり血液がドロドロになりやすいから。炎天下を避け、汗をかいたら十分な水分補給を。
  5. 脳梗塞には稀に、前触れのあることがある、それが一過性能虚血発作(TIA)。すぐによくなったからと言って安心せずに、急いで病院へ。
  6. 心臓の不整脈から起こる脳梗塞が増えている。動悸がしたら、心房細動など、心配な不整脈でないかどうか調べてもらいましょう。
  7. 知らないうちに脳梗塞にかかっている方が増えている。それが無症候性脳梗塞。一度、起こった脳梗塞は再発することが多い。次に起こった時も無症状ですむとは限らない。ある程度の年齢になったら、一度は頭の検査を受けてみては。
  8. 脳梗塞の最大の危険因子は高血圧。次に高脂血症(血液中のコレステロールが高い)、糖尿病。このような病気にかかっていないか時々チエックして、早めに治しておくことが、脳梗塞の予防に一番、大切。
  9. 高血圧、高脂血症、糖尿病を放っておくと、将来、脳梗塞や心筋梗塞にかかることになる。しかし血圧が高くても、血液中のコレステロールが高くても、あるいは血糖が上がっていても、普通、痛くもかゆくもないので、治療を受けようという気になりにくいことに注意。
  10. 塩分のないところに高血圧はない。塩分を控えめに。
  11. 血圧を下げるポイントは、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの微量元素(ミネラル)を摂取すること。
  12. タバコを吸っていると多血症、すなわち血液が濃く、ドロドロとした状態になり、脳梗塞にかかりやすくなることに注意。
  13. 魚の油に含まれるEPAやDHAには動脈硬化を抑えて脳梗塞を予防する効果がある。またEPAには血液をサラサラにする効果、DHAには頭を良くする効果もある。
  14. 納豆に含まれるナットウキナーゼには、血栓を溶かして脳梗塞を予防する効果がある。
  15. 梅干やレモンなどのすっぱい食べ物に含まれるクエン酸は血液をサラサラにして脳梗塞を予防する効果がある。
  16. 体内で出来る有害な活性酸素の害を打ち消す抗酸化物資(スカベンジャー)を積極的に摂取して動脈硬化を防ごう。それにはビタミンE、ビタミンC、カロチンなどがある。

11.脳卒中予防十か条(日本脳卒中協会作成)

  1. 手始めに高血圧から治しましょう
  2. 糖尿病放っておいたら悔い残る
  3. 不整脈見つかり次第すぐ受診
  4. 予防にはタバコを止める意思を持て
  5. アルコール控えめは薬過ぎれば毒
  6. 高すぎるコレステロールも 見逃すな
  7. お食事の塩分、脂肪も控えめに
  8. 体力に合った運動続けよう
  9. 万病の引き金になる太りすぎ
  10. 脳卒中起きたらすぐに病院へ

12、血液サラサラにする方法

血液がドロドロになると、血管が詰まりやすくなって、恐い心筋梗塞や脳梗塞の引き金になります。血液の55%は液体ですが、残り45%は細胞成分、それには赤血球、白血球、血小板などがあり、このうち最も多いのが赤血球で全細胞成分の90%以上を占めます。タバコを吸う方では、多血症、すなわち赤血球が異常に増えていることが多く、そのせいで血液がドロドロとした状態になりがちで、注意が必要です。また、水分の摂取が不足しますと、脱水、すなわち血液中の水分が足りなくなって、やはり血液がドロドロとした状態になります。そこで、日々、こまめに水分を補給することで、血液が粘り気を帯びるのを防ぐことができます。

一方、血小板は、もともと血管に傷ができた時に、その部分で血液を固まらせ傷口をふさぐという、大切な働きに関係しています。この血液の凝固は、まず血液中の血小板が凝集することから始まるのですが、この血小板の凝集が、起こってはいけない時に起こるととても困ったことになります。例えば、これが動脈硬化などで狭くなった部分の血管で起こりますと、血液の塊(血栓)を作って、この血管を詰まらせてしまうことになります。つまり、血管が詰まる最大の原因のひとつが血小板の凝集なのです。では、血栓ができるのを防ぎ、常に血液がサラサラと流れるようにするには、どうしたら良いのでしょうか?

それには、血液サラサラに役立つ食品を積極的に摂取することです。中でも。クエン酸、納豆に含まれるナットウキナーゼ、そして青魚に含まれるEPA、DHAを第一にあげることができます。クエン酸には血液が固まってドロドロになる反応を妨げる働きがあります。クエン酸の効果は、その化合物であるクエン酸ナトリウムが、輸血の際など、血液が凝固すると困る場合の薬剤として、よく使われることからも分かります。クエン酸を含む食品には、梅干、レモンなどの「すっぱい食べ物」をあげることが出来ます。また、お酢に含まれる酢酸にも同様の働きがあるので、折に触れ、「すっぱい物」を摂取することが大切です。

納豆に含まれるナットウキナーゼは強力な血栓溶解酵素で、その効力は、人間が生まれながらにして持つ血栓溶解酵素プラズミンより強く、血管をつまらせる原因となる血液の塊(血栓)を溶かす作用があります。

背の青い魚の油に含まれているEPAは、血小板の働きを整えて、血栓ができにくくする作用があります。いつも青魚を食べているアザラシの肉を主食にしているのがグリンランド地方に住むエスキモー達です。彼らには、心筋梗塞の発生がほとんどみられないと言う事実がよく知られています。

有害な活性酸素にビタミンEが有効

ビタミンEは動脈硬化の予防に効果を示す

ビタミンEは米、麦などの胚芽や大豆、ごまなどの種子に多く含まれています。しかし、最近では、一般に大豆製品の摂取が減っており、また、われわれが口にする穀物はほとんどが精製されたものになっており、ビタミンEが欠乏しやすいのです。さらに食生活の西洋化から酸化した油をとる機会が増えていることなどから、体内でのビタミンEの消費は逆に増えています。例えば、揚物やスナック類などの食品は油の酸化を起こし、体内のビタミンEを消耗するのです。このようにビタミンEの摂取量が減っているのにもかかわらず、体内の消費は増えており、現代人は、ビタミンEの欠乏状態になりやすくなっているのです。

われわれが生きてゆくために必要不可欠である酸素は、一方で体内の脂肪を酸化させ、体に害のある過酸化脂質を作りだすのですが、この過酸化脂質ができますと動脈硬化を促進し、血管に血栓が生じやすくなったりします。すなわち過酸化脂質は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすようにも働くのです。ビタミンEはこの過酸化脂質の発生を予防する他、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールを増やすように働きます。

ビタミンEの1日必要摂取量は最低30ミリグラムですが、我が国の40歳以上の平均摂取率はその半分にも満たない状況です。特に多価不飽和脂肪酸(動物性脂肪)を多く摂る食事をしている人はビタミンEが多く必要になります。

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