手足がしびれます

手足がしびれます

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  1. 一過性脳虚血発作
  2. 首からのしびれ
  3. 胸郭出口症候群
  4. 手根管症候群
  5. 肘部管症候群
  6. 腰椎椎間板ヘルニア   坐骨神経痛
  7. 足根管症候群
  8. 多発神経炎
  9. 慢性動脈閉塞症
  10. 腰部脊椎管狭窄症
  11. 外側大腿皮神経痛

手足のしびれの原因

しびれを起こす原因には、脳の病気、また脊髄の病気、あるいは手足の末梢(まっしょう)神経(しんけい)の病気などさまざまなものがあります。ここではしびれを起こしてくる病気のうち日常よくみられる病気について解説します。

1.一過性脳虚血発作

短時間で良くなる手足のしびれは、脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作の場合がある

手足にしびれを起こす病気のうち、特に注意が必要なものとしては、まず第一に「一過性脳虚血発作」をあげることが出来ます。

動脈硬化によって、脳に流れる動脈の内腔が狭くなった部分がある方では、血圧の変動などが起こった時に、その部分のせいで一時的に脳への血液の流れが悪くなることがあります。そして、血液の流れが悪くなった血管の先が、手足の感覚を司さどるような場所であると、この時に、発作的に手足がしびれることになります。ほとんどの場合、発作自体は数分から長くても数時間で終わり、すぐによくなってしまいます。そのため、すぐに良くなってしまうからと安心してしまう方が多いのです。

しかし、この一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前ぶれ、すなわち血管がつまりかけている場合に、よく起こるのです。すなわち、すぐに良くなってしまうからと安心してしまわずに、大事にいたる前に精密検査を受け、脳梗塞の予防を行なっておくことが大切です。

2.首からのしびれ(頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症)

年配の方では老化現象によって出来た骨の飛び出しや椎間板が、首から出る神経を押えて、手足がしびれることがある

手足のしびれが起こる病気のうち年配の方に多いものに、変形性(へんけいせい)頚椎症(けいついしょう)と言う病気があります。

首の骨は7つの骨がつながって出来ています。そして、椎間板(ついかんばん)と言う「ざぶとん」、あるいは「クッション」みたいなものがその骨と骨の間をつないでいます。ところが、ある程度のお年になってきますと、誰でもこの椎間板が老化現象を起こしてきます。これがひどくなってきますと、しばしば椎間板が後や横に飛出してヘルニアを起こしたり、あるいは老化現象のため首の骨自体に骨棘(こっきょく)と言う骨の飛出しが出来てきます。この骨棘や椎間板ヘルニアが首の骨の後を通っている脊髄(脳への神経の通り道)、あるいは首の骨の横を通る神経(しんけい)根(こん)手足から脊髄への神経の通り道)を圧迫しますと、その結果として手足のしびれが起こってきます。そして脊髄が圧迫された場合を頚椎症性脊髄症、神経根が圧迫された場合を頚椎症性神経根症と言います。

圧迫も軽いうちは手足のしびれや痛みだけですが、次第に足の力がぬけて階段が降りにくい、あるいは登りにくい、さらに進むと平地でも歩きにくいと言うような症状が起こってきて、最後には歩けなくなってしまいます。

また、手の症状としては、次第にボタンをとめたり、字を書いたり、あるいはハシをもったりと言う細かい動作がしにくくなってきます。

治療としては、はじめはネックカラー(ポリネック)による頚部の安静や頚椎牽引などの理学療法が行なわれます。しかし、進んできますと、手足が動かなくなって直らなくなりますので、手遅れにならないうちに手術で神経への圧迫を除去する必要があります。

なお、肩こりや肩の痛み、手のしびれなどの症状は、時には狭心症、心筋梗塞、肺の腫瘍、胆石症など内臓疾患による場合もありますので注意が必要です。

頚椎後縦靭帯骨化症

脊椎椎体の後面にある後縦靭帯に骨が出来て、これが脊髄を圧迫するために、手足のしびれが起こることもある

脊椎を一本の柱のように連結するため椎体の回りには種々の靭帯が存在しています。このうちの椎体の後面にある靭帯のことを後(こう)縦(じゅう)靭帯(じんたい)と呼び、この靭帯に骨が出来てきたものを後縦靭帯骨化症(英語で略してOPLLと呼ばれます)と言い、脊椎の中でも、しばしば頚椎に起こります。この後縦靭帯骨化症は人口10万人あたり約6人とそれほど多い病気ではありませんが、男性に多く、若干の遺伝性があり、また糖尿病の人に多いと言われています。この後縦靭帯は脊椎椎体の後にある分けですが、見方を変えればその部分は、椎体の後にある脊椎管の前の壁にあたります。後縦靭帯に骨化してくるということは、その前の壁が腫れてくるということです。一方、脊椎管の中には手足に行く神経が通っている脊髄があり、もともと脊椎管と脊髄の間のスキマには、それほど余裕がある分けではありません。この靭帯に骨が出来て、これが次第に厚くなってきますから、前の壁がふくらんでくることになり結局、脊椎管が狭くなって脊髄が圧迫されることになります。そこで手足のシビレや運動麻痺が起こってくることになるのです

後縦靭帯に骨が出来る原因は、残念ながら、まだ良く分かっていません。そこでこの病気には根本的な治療はありませんが、脊髄の症状がひどくなってきた場合には、脊髄への圧迫を取り除く手術が行なわれます。

頚椎後縦靭帯骨化症の方は転倒や頭部外傷に注意。急激に脊髄の症状が悪化することがある。

なお頚椎後縦靭帯骨化症の方では、しばしば転倒や頭部外傷により急激に脊髄の症状が悪化し、ひどい時には手足が全く動かなくなってしまうことがあります。そこで、外傷には普段から注意しておくことが大切です。

3.胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

胸郭出口症侯群は、なで肩の女性に多く、肩こりや腕から手の内側のしびれや痛みが起こる

若い人に多い病気で手や腕のしびれや痛み、また肩こりの原因となる病気に胸郭出口症侯群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)と言う病気があります。

脊髄から出て手や腕の方に行く神経や血管は、首から手の間で肩の部分で、肋骨のうちの一番上にある第一肋骨と鎖骨との間に出来た隙間を通ります。この隙間のことを胸郭出口と言います。 なで肩や肩の下がっている人ではこの隙間が狭くなっていて、そのため神経や血管が圧迫され、その結果、手や腕の痛みやしびれ、肩こりなどが起こって来ます。この病気は10歳台後半から30歳台の女性に多いようで、なかでも手や腕をよく使うことの多い職業の方にしばしば見られます。例えばキーパンチャー、タイピスト、電話交換手など、あるいは腕を上げていることの多い美容師さん、黒板にチョークで字を書く学校の先生などに多いと言われています。症状としては手や腕の痛み、しびれ、だるさ、あるいは肩こり、肩甲骨付近のこった感じや痛み、また動脈が圧迫され、血液の流れが悪くなって腕や手の冷たい感じなどが起こってきます。なお、しびれはしばしば手や腕の内側の部分(尺骨神経と言う神経の領域)に起こる特徴があります。

治療としては、軽いものでは運動療法、ブロック注射療法、飲み薬などが用いられますが、ひどい症状の場合には、手術の必要なこともあります。

4.手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

手根管症侯群は中年の女性に多く、夜中に手の痛みで目が覚める

手のしびれや痛みを起こし、結構、多い病気のひとつに手根管症侯群(しゅこんかんしょうこうぐん)と言う病気があります。この手根管症候群は、成人女性の手のしびれの原因としては最も多いものです。

手に行く神経には3つの神経があります。そのうちのひとつである正中神経は、手首の関節の部分にあるトンネル状の管の中を通っており、この管のことを手根管と言います。手首を良く使う方では、この手根管の部分でこの正中神経が圧迫されて症状が出てきます。この病気で多い症状としては、夜中や朝起きた時に起こる手のしびれ感や痛みで、しばしばその痛みのために目が覚めます。そして、この痛みは手の指を曲げたり、伸ばしたりしていると直ってしまいますので、そのまま寝入ってしまうと言うようなことを繰り返します。

この病気は中年以後の女性に多く、症状が進むと手指の運動も障害されて、親指と小指をくっつける動作が出来なくなったり、さらに進むと親指の付根のふくらみ(これを母子球:ぼしきゅうと言います)がやせて、へこんできます。

治療としては、ブロック注射、飲み薬、理学療法が行なわれますが、症状のひどい時には、手術が必要な場合もあります。

5.肘部管症侯群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

尺骨神経が圧迫されると手の小指の側がしびれる

手にゆく3つの神経のうち手首の部分で正中神経が障害されて起こる手根管症侯群では、手の指のうち母指、示指、中指、環指すなわち第1から第4手指(正確には環指の小指側半分はしびれません)の「しびれ」が起こり、また親指と小指をくっつける動作ができにくくなります。一方、尺骨神経は、肘関節の部分で、その内側にある肘部管(ちゅうぶかん)と言うところを通り、次に手首の小指側の部分にあるでギヨン管と言うトンネルの中を通って手にいたります。

たいていの方では、肘の内側を何かで打ったりした時にビーンとひどいシビレや痛みが走ったことを、これまで一度ならず経験したことがあるでしょう。これが尺骨神経が打ち身を起こした時の症状なのです。

この尺骨神経が肘部管のところで圧迫され、手のしびれの原因となることは、手根管症侯群に次いでよくみられます。

尺骨神経は小指と環指(親指から数えて4つ目の指)の小指側の半分の部分の感覚を支配していますので、肘部管症侯群では、しびれもその部分に起こります。また骨間筋萎縮(手の骨の間の筋肉のやせ、背中側の筋肉でよく分かる)、また手の小指の側の筋肉(小指球と言う)のやせ(萎縮)が起こり、病気が進みますとワシの手のような形に手指が変形(鷲手と言う)したりします。

肘部管症侯群には、さまざまな原因がありますが、このうち何十年も前の肘の骨折(上腕骨外顆上骨折)の後にしばしばみられ、これは遅発性尺骨神経麻痺としてよく知られています。

尺骨神経麻痺の治療としてはまず飲み薬や理学療法などの保存的治療、また障害を受けている神経の周囲にブロック注射を行なったりしますが、それでも治らない場合には、手術を行なうことになります。

6.腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛

腰椎椎間板ヘルニアでは腰痛 ばかりでなく、下肢のしびれや痛みを伴う

腰の骨(腰椎:ようついと言います)は5つの骨がつながって出来ています。そして頚椎と同じく、その骨と骨の間を椎間板(ついかんばん)と言うざぶとん、あるいはクッションみたいなものがつないでいます。この椎間板が飛出してヘルニアを起こしますと、腰の痛みばかりではなく、ほとんどの場合、脊髄から足の方へ行く神経を圧迫して、下肢のしびれや痛みが起こってきます。腰の椎間板ヘルニアは、腰椎の4番目と5番目の骨の間および5番目の骨と仙(せん)椎(つい)との間によく起こります。その部分にヘルニアが起こりますと、それぞれ腰の神経の5番目の枝(神経根と言います)、また1番目の仙髄の神経根が圧迫されます。そうしますと5番目の腰の神経根では下腿(膝より下の足)の外側から足の背面、すなわち足の甲の部分、また小指以外の足の指のしびれが起こります。また1番目の仙髄の神経根では下腿の後面から足の外側部分、かかと、および足底(足の裏の部分)のしびれが起こります。

腰椎椎間板ヘルニアの治療としては、まず、腰部の安静、腰の牽引などの理学療法、ブロック注射療法などを行ないますが、症状がひどい場合には手術が必要になってきます。

7.足根菅症候群(そっこんかんしょうこうぐん)

足の裏のしびれの原因は足根管症候群が多い

50歳女性、足の裏や足の指のつけ根にいつも薄紙が張ったよう感じがして、歩く時にも紙がはりついているみたいな気がします。

足の裏の感覚を司どる足底神経は足の内側くるぶしの下にある足根管と言うトンネルの中を通っています。この足根管付近の足の腱に炎症が起こった時や、足に繰り返し負担がかかった時などに、このトンネル内で神経が圧迫されることがあります。この場合、足の裏のシビレや、足の裏の筋肉がこったような感じが起こりますが、これを足根管症侯群と言います。

診断には、足根管のトンネルの上をたたくと、足根管症侯群では足底や足指に痛みが放散します。これをチネル兆候と言います。確定診断には、電気生理検査を行なって神経伝導速度測定し、この部での神経の伝導障害があるのか、ないのかを調べます。

治療は、足底神経にブロックを行なって、炎症を抑えるようにしますが、それでも治らない時にはトンネルを拡げる手術をします。

8.多発神経炎

多発ニューロパチーでは、手足の先、すなわち手袋、靴 下状の部分がしびれるのが特徴

その他、手足のしびれの原因として、しばしば見られるものにビタミン不足、中毒、アルコール多飲によるもの、また糖尿病によるものなどがあります。このようなビタミン不足、中毒あるいは代謝性の病気の場合には、手足の末梢神経が全身かつ左右対称性に障害され、多発神経炎もしくは多発ニューロパチーと呼ばれます。この場合、しびれは、やはり左右対称性に起こり、特に手では手袋をはく部分、また足では靴下をはく部分(手袋、靴下状)に起こる特徴があります。

ビタミン欠乏による多発ニューロパチーは、かっての日本では貧しい食事の関係でよく見られました。例えば、当時はビタミンB1の欠乏による脚気(かつけ)が国民病と言えるぐらい多かったのです。しかし現在では食生活の改善とともにいずれも稀な病気となっております。ところが最近、インスタント食品ばかり食べている若い方、あるいは独身の方で偏食傾向の強い人、あるいは、あまりおかずを食べずにお酒ばかり飲んでいる慢性アルコール過飲者などの間で、ビタミン欠乏による多発ニューロパチーが再び増加しています。なお、アルコール多飲者ではビタミン不足以外に、アルコールそのものによる神経の障害から手足のしびれが起こり、特に夜間に強いビリビリとした痛みが多いのが特徴(燃える足症状とも言います)です。

糖尿病の場合、長い神経の先からやられることが多く、手と足を比べますと、どなたもやはり足の神経の方が長いことから、通常、足の先からしびれが起こります。すなわち糖尿病のしびれは、主に下肢に見られることが多く、また下肢のジンジンとした耐え難い感じや痛みを伴うものが多いと言う特徴があります。そして、このような痛みは夜間に強く、そのため眠れないと言う患者さんも多いようです。

なお、しびれの中には、稀に背後に悪性腫瘍などがひそんでいる場合があるので注意が必要です。

癌や心筋梗塞で手がしびれたり、痛んだりすることもある

例えば、肺の一番上のところに出来た肺癌では、上肢へ行く神経が障害されて手のしびれが起こってきます。なお、この部分の肺癌のことをパンコスト腫瘍と言います。すなわち、手がしびれているだけと言っても、稀に肺がんの場合もありますので注意が必要です。 また、頚部に癌などの悪性腫瘍が出来ている場合に、下顎(したあごの部分)からくちびるの部分がしびれることもあります。それ以外に、心筋梗塞の場合にも左手がしびれたり、痛んだりすることがありますので、注意が必要です。

9.慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症)

足の動脈が動脈硬化で細くなったり、つまったりしていると、足がしびれたり、しばらく歩いていると足が 痛くなって歩けなくなったりすることがある

足に行く動脈が動脈硬化のために、細くなったりあるいはつまったりしている場合、足がしびれたり、足が冷たく感じたりします。この場合の特徴的な症状は、間欠性破行(かんけつせいはこう)と言って、しばらく歩いていると足がしびれたり、痛んだり、あるいはふくらはぎがつっぱったりしだして歩けなくなってしまいます。そしてしばらく休んでいると楽になってまた歩けるようになり、また、しばらく歩くと痛くなってと言うことを繰り返します。この症状は、腰部脊椎管挟窄症の場合に起こることもあります。

10.腰部脊柱菅狭窄症

腰部脊柱管挟窄症は腰部の脊椎管が狭くなり、足にゆく神経が圧迫されて起こる病気である

腰部脊柱管挟窄症とは生まれつき、もしくは年をとられてから老化現象により出来た骨や軟骨、あるいは椎間板の飛出などのせいで、腰部の脊柱管が狭くなった病気です。腰部の脊柱管が狭くなりますと馬尾神経や、神経に行く血管が圧迫されて、腰痛ばかりでなく、下肢の痛みや、特徴的な馬尾神経性間欠性破行が見られます。

間欠性破(かんけつせいは)行(こう)とは、しばらく歩いていると殿部の痛みや、下肢の痛みが起こり歩けなくなり、しばらく休憩していますとまた歩けるようになるといったことを繰り返す症状のことです。なお、馬尾神経性間欠性破行では下肢が痛くなって休まざるを得なくなった時に、「体を前かがみにして休憩する」と言う特徴がありますが、これは前かがみの姿勢では、腰椎の前弯が減って脊椎管が広くなり、神経の圧迫が軽減され、症状が軽くなるからです。

すなわち腰椎の前弯を減らす体位では、腰痛や下肢の痛みが軽くなりますから、例えば、乳母車(うばぐるま)を前かがみで押して歩くこようなことは普通に出来ますし、自転車に乗ることについても問題がありません。しかし長時間の歩行が出来ないのです。

閉塞性動脈硬化性間欠性跛行(足への動脈が細くなったり、つまったりする病気)でも、同じように間欠性破行の症状が出ますが、この場合は痛みやしびれが腰椎の姿勢と関連しません。

11.外側大腿皮神経痛(知覚異常性大腿痛)

太ももの外側がしびれて痛みます

下腹部の外側の部分から出て大腿の外側へ分布する外側大腿皮神経が、その出口の部分で圧迫されたために起こる神経痛。肥満、妊娠、ベルトの締めすぎ(コルセット着用など)、窮屈な下着やズボンをつけることなどが原因となることが多い。大腿外側面のしびれ感や痛みが主な症状。案外多い病態ですが正確な診断を受けていないことが多いようです。

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